インターネット上を中心に、江戸時代の大阪城の改修工事で不要となった石垣の一部が、なんと2025年大阪・関西万博の会場トイレの柱として使われているという情報が拡散しています。歴史ある大阪城の石材がトイレの柱に転用されるとは驚きもショックも大きく、多くの国民が憤慨している様子が窺えます。
しかし、この情報は果たして本当なのでしょうか? 本記事では、噂の真相を徹底的に検証し、大阪城の残念石の現状について詳しく解説していきます。
先出しまとめ
- 現状で残念石がトイレの柱には使われていません。読売新聞のニュースタイトルから、残念石を加工して柱に使ったトイレが次回の万博で量産されるようなイメージを持たれた方もおられるかもしれませんが、記事中には「屋根と石とを接合する部材をつくり、石本体を加工せずに屋根を水平に載せる。座って休めるスペースも設ける」という一文があります。
- 万博閉幕後は、場所を探して移設することを検討している
- またそのまま放置してこそ、文化財的価値があるという主張にも納得
- それぞれの意見が今後もバトルになりそう……
- 過去において残念石は適切に活用されており、大阪城の歴史と文化を伝える大切な役割を果たしています
話の発端は?
2024/1/19に報道されたニュースが原因だ。
「大坂城再建で使われなかった「残念石」、400年経て大阪・関西万博でトイレの柱に」
とタイトルが付けられた記事です。
大きな石を削って、トイレの柱に使うなんて……
と、私も思いびっくり。
記事をよくよく読んでみると……
読売新聞に掲載された記事の要点を抜粋する。(詳細はリンクからご確認お願いします)
読売新聞、2024/1/19
- 2022/8月、関西の若手建築家3人が2025年大阪・関西万博の会場南西のトイレの設計を委託された。建設費は約6300万円。
- 3人は滋賀や奈良で建築設計事務所を営む小林広美さん(31)、大野宏さん(31)、竹村優里佳さん(32)。
- 3人は、材料を調べていた時に近畿や中四国に点在する残念石のことを知った。小林さんは「歴史のある石で、素材として面白いと感じた」と話す。協力してくれる自治体を探したところ、木津川市の了承を得た。
- 活用するのは、同市の木津川支流・赤田川の河原にある4個の 花崗かこう 岩(長辺2・8~3・2メートル、重さ7・5~13トン)。トイレの延べ床面積は約50平方メートル。形を読み取るデジタル技術を駆使して屋根と石とを接合する部材をつくり、石本体を加工せずに屋根を水平に載せる。座って休めるスペースも設ける。
- 3人は万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にちなみ、「石に『いのち』を吹き込みたい」と意気込んでいる。
- 万博閉幕後は、場所を探して移設することを検討している
屋根と石とを接合する部材をつくり、石本体を加工せずに屋根を水平に載せる。座って休めるスペースも設ける。
と、書いてあります。
イメージ写真も掲載されていました。
加工はせずに、トイレ前に置くだけって感じなのか……
残念石とは何か?
まず、そもそも残念石とは何なのか、簡単に説明しておきましょう。残念石とは、大阪城の改修工事中に破損したり加工に適さないと判断された石材のことです。石垣の一部として使われる予定でしたが、品質上の問題で採用が見送られました。
残念石は決して粗悪な石材というわけではありません。歴史的価値が高く、耐久性にも優れています。しかし、石垣としての強度を保つための基準を満たさなかったり、加工が難しかったりするために、残念ながら使用できなかったのです。
京都府の木津川支流・赤田川の河原にはまだたくさんの残念石が砂に埋れたりして放置されています。
すでにトイレの柱に使われてる?
では、噂されているように残念石が実際にトイレの柱として使われているのでしょうか? 結論から言えば、それは事実ではありません。
現在、これらの残念石は大阪城の様々な場所で見ることができます。中には、モニュメントや建物の装飾に使われているものもあります。しかし、残念石がトイレの柱に使用されているという話は、確かな根拠に基づくものではありません。これは、一部の伝説や都市伝説に過ぎないと考えられます。
残念石の現状は?
では、実際に残念石はどのように使われているのでしょうか? 大阪城管理事務所によると、残念石は主に以下の3つの方法で活用されています。
- 城内の庭園や通路の敷石として再利用
- 歴史資料としての保存
残念石は決して粗末に扱われているわけではなく、大阪城の歴史を伝える貴重な資料として大切に保管されています。
文化遺産なのに……
しかし、一方でこーいう意見があるのも私は納得。
「そこにあるが故に文化財的価値がある」とも思えますよね。
石の運び出しは6月を予定しているそうで、それまでにまだ二転三転しそうな雰囲気がありますね……
と、書いたのが、1月20日頃でしたが、2月になって新たな動きが……
建築設計事務所の大野宏さんが2024/2/11に投稿されました。
許可なく文章の転載、転用を禁じると書かれているので、制作者側の意見を聞きたい人はぜひその投稿をご覧ください。
まとめ
- 現状で残念石がトイレの柱には使われていません。読売新聞のニュースタイトルから、残念石を加工して柱に使ったトイレが次回の万博で量産されるようなイメージを持たれた方もおられるかもしれませんが、記事中には「屋根と石とを接合する部材をつくり、石本体を加工せずに屋根を水平に載せる。座って休めるスペースも設ける」という一文があります。
- 万博閉幕後は、場所を探して移設することを検討している
- またそのまま放置してこそ、文化財的価値があるという主張にも納得
- それぞれの意見が今後もバトルになりそう……
- 過去において残念石は適切に活用されており、大阪城の歴史と文化を伝える大切な役割を果たしています